みなとみらい21事務所
BLUE MARINA MM21
設計・建築 | 中川巌・建築綜合研究所 |
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構造 | 梅沢建築構造研究所 |
設備 | 日本環境技研 五大設計事務所 |
施工 | 早野組 大都建設 |
敷地面積 | 4,054.6㎡ |
建築面積 | 1,743.6㎡ |
延床面積 | 4,705.0㎡ |
階数 | 地下1階 地上3階 塔屋1階 |
構造 | 鉄骨造 |
工期 | 1995年3月~1996年3月 |
海の生命を都市の息吹に!
みなとみらい21計画は、横浜駅周辺、関内、伊勢佐木町と本地区を一体化させ、21世紀に向けての新しい都心を作り出そうとする事業である。
本施設は、その開発の中心的役割を担う住宅・都市整備公団横浜特定再開発事務所、公団工事監督員詰所および第三セクターの3社が使用する業務施設であり、2000年新設予定の鉄道MM21新線の新駅ができ、駅前開発が行われるまでの約15年間使用される暫定施設である。
本計画地はMM21西端のビジネスゾーン47ブロック内に位置し、西側の東横線、首都高横羽線が北側に大きくカーブする地点に接して、南北に細長い敷地形状をしている。計画地の周辺は緑の少ない未整備地区であり、東には横浜港、南にはランドマークタワーを望み、西側鉄道の背後には既存市街地が広がっている。
住都公団はMM21のインフラストラクチャーを中心とした再開発と、保繕、管理を行う一方、関係者や来訪者に、豊かな港湾都市づくりについての説明とPRも行っている。そのため、住都公団自らの施設においても、MM21の街づくり協定に従った将来の街並み像としての建築を表現する必要がある。
設計方針
多様な都市活動の舞台として、様々な表情をもつ街づくりの一環として本施設は以下のような設計を行った。
・水と緑の豊かな街区づくり:周辺の街区は未整備であるため、本計画地は水と緑豊かなオアシスを想定し、海側には庭園を配し、道路側を波打ち際に見立て、樹木と岩とによって海辺を表現した。
・快適な執務空間づくり:西側鉄道、高速道路からの騒音に対し、防音効果のある外壁として水平コアを配し、最小限度の窓を設けた。東には眺望の効いた開放的執務空間を配し、3社の執務スペースから窓先の庭園と海が眺められるようにした。
・わかりやすいサーキュレーション:敷地の南と西側の道路からA棟、B棟へのそれぞれのアプローチと車寄せを設置し、それらをつなぐサービス道路、駐車場を設けた。
・プライバシーとセキュリティの確保:3社のための3つの玄関と4つの階段を分離して設け、機能、管理範囲は明確に独立させながら、それを建物の外観にも表現した。
港湾都市再生のイメージ
再開発地域の活力あふれる街づくりはもとより、既存市街地との個性豊かな港湾都市のイメージを形成するための刺激剤として、この建物の形態と材質、色彩計画を行った。
・どこからも海や港が感じられる建物とするため、海、波、海の生き物などの自然のイメージや、船や港のイメージなどを建築形態に取り入れた。
・海とそこに住む生き物がもつ曲線と質感を建築的に表現し、海とそこに住む魚にある色とその組み合わせによって色彩を決定した。
・本建物がMM21地区と既存市街地との接点にあることや、鉄道、高速道路のカーブに沿った建物であることから、細長い弓形の平面と波打つ大屋根による構成で、港湾都市MM21のウエストシティーゲートとしてのシンボル性を高めることを意図した。すなわち、左右に大きく波打つような形態で、高速道路のスピード感やMM21のスケール感にも対応し、海側からは管理センターのシンボルとして、また、高速道路側からはダイナミックなウエストシティーゲートとして、MM21の利用者のみならず市民に対しても、やがて豊かな港湾新都心になるはずであろう、そのイメージを分かり易く伝えたかったのである。(中川巌)