鮎沢PA休憩施設(下り線)
Ayuzawa PA Rest Facility
設計・建築 | 中川巌・建築綜合研究所 |
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構造 | 梅沢建築構造研究所 |
設備 | テクノ工営 川合企画 |
監理 | 日本道路公団 道路施設協会 |
施工 | 飛鳥建設 |
敷地面積 | 7,576.5㎡ |
建築面積 | 便所・売店:635.2㎡ 薬剤倉庫・浄化槽など:431.8㎡ |
延床面積 | 便所・売店:635.2㎡ 薬剤倉庫・浄化槽など:431.8㎡ |
階数 | 地上1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 屋根:鉄骨造 |
工期 | 1991年3月~1991年12月 |
本計画は東名高速道路、東京、御殿場間の道路拡幅工事に伴うパーキングエリアの改築工事である。建設地は東京インターチェンジより西へ72㎞の地点で、富士・丹沢・箱根の山々に囲まれた自然豊かな山間部にあり、南北に細長い谷間に位置している。敷地の東側に山が大きく張り出してきていること、また下り線が手前で二手に分かれていることなどから、利用者にパーキングエリアの位置を分かり易くし、安全性と利便性を高めるため、進入路に照明塔でもあるランドマークタワーを、そしてパーキングエリア内においても便所・売店の位置がすばやく確認できるよう、もうひとつのランドマークタワーを設置した。それは幾何学的な形態をした建物と一体化し、本パーキングエリアのシンボルとなっている。便所棟と売店が一体となり、平均滞在時間20分の利用者の旅の興奮と、憩いの場としての快適性を高めるために、南からの日差し、通風を考慮し、便所棟と売店との間に日溜まり空間“サンプラザ”を設けた。ここにはベンチやコロネードを設置し、夏にはテーブルやイスを置き、軽食もできる広場となっている。北側は、公衆電話、案内板などを設置した前面広場である。
本建物は、周りの丹沢・箱根などの山々が連なる姿を建築的イメージとし、雄大な自然の中で強い印象を与える建築とするため、三角形を連続させた形態とした。
“暗い”“臭い”“汚い”など、公衆便所の貧困なイメージを追放し、内部空間を豊かな物とするため、おのおのの便所には順番待ち、休憩ができるようベンチやベビーベッドのあるレストコーナーを設置した。
また天井を高くし、ハイサイドライトからの自然採光、自然換気で省エネを行いながら、明るく、快適な室内とした。さらに、ハイサイドに取り付けた照明によって、大天井、そして外部の屋根をも照らし、浮かび上がらせることで、内外部とも華やかな雰囲気を醸し出している。
なお、このような公共建築においては、設計者が監理の段階においても参加することができれば、さらに多くのアイデアが生かされ、より豊かな公共施設になるのではないだろうか。
(中川 巌)